オーラルフレイルが心身に及ぼす影響
昨今の感染症対策の中、会話する機会の減少や、マスクの中でお口が開きっぱなしになることが続き、お口の筋力の低下や口腔機能の低下が増えつつあります。このお口の筋力低下は「オーラルフレイル」を引き起こす恐れがあると、近年問題になっています。
オーラルフレイルとは、「お口の筋肉の衰え」から始まり、噛めないものが増える→やわらかい物を好んで食べる→噛む機能が低下していく…という負の連鎖のことを言います。
この連鎖は、慢性的な「低栄養状態」と、全身に及ぶ「筋力の低下」を引き起こします。これが、オーラルフレイルが恐れられている一番の理由です。
高齢者を対象とした、口腔健常者と、オーラルフレイルの症状が見られる人を比較した追跡調査によると、オーラルフレイルの症状がある人は、口腔健常者に比べ
身体的フレイル(身体の筋肉・機能の低下)になる割合が2.4倍、要介護認定が2.4倍、総死亡リスクは2.1倍になるという結果(※)が得られています。
口腔および身体機能の低下は社会活動への参加も遠ざけることにつながり、孤立や精神的な老いの引き金にもなります。
生涯にわたって健やかな日常を送るためにも、食べ物を美味しく味わい、存分に会話を楽しめるような健康的な口腔を維持していくことが重要です。
※東京大学高齢社会総合研究機構「大規模長期縦断追跡健康調査(柏スタディ)」より
【参考】歯科診療所におけるオーラルフレイル対応マニュアル2019年版
オーラルフレイルを防ぐために
オーラルフレイルに陥らないために重要なことは、お口の筋肉が衰えないように意識してお口を動かすことです。
- 1日3食、よく噛んで食べる
- 積極的にお口を動かす
- 定期検診に行き、口腔環境を見直す
定期的に歯科医師や歯科衛生士にお口を診てもらい、歯周病やむし歯などを早期発見することや、自分の口腔環境について知ることも、大切な予防の一つとなります。
あいうべ体操
あいうべ体操は、口呼吸から鼻呼吸へ改善を促し、オーラルフレイルを予防するためのお口のトレーニングです。「あ」「い」「う」「べー」と2秒ずつ大きく口を動かします。「べー」の発音時には舌を思いきり出し下にのばしましょう。10回を1セットとし、1日3セットを目標に行います。