2017年9月28日
徳真会クオーツタワーに将棋棋士の羽生善治先生を講師としてお招きし、「一燈塾」を開催いたしました。
「決断力を磨く」というテーマのもと、将棋界で初めて七冠を独占した羽生善治先生の“決断力の磨き方”についてお話しをいただきました。
決断力を磨く3つの要素
将棋では、10代から70代まで、どの年齢においても、以下の3つの要素を使って決断をしていると考えられているそうです。
・直感 推理によらず、直接的・瞬間的に、物事の本質をとらえること
・読み 未来を予測する、シミュレーションをするということ
・大局観 具体的な選択・決断よりも、今後の方針を決めること
どの年齢においても、上記の3つを使って決断していることに変わりはありませんが、使っている比重が年齢によって異なるそうです。若い時は、読みや記憶が中心になりますが、ある程度年数を重ねてくると、直感や大局観を使うようになり、足し算ではなく、引き算で考えることが出来るようになるとおっしゃっていました。
長考に好手なし
対局は、非常に長い時間をかけて行われますが、将棋界には「長考に好手なし」という言葉があります。この意味は、熟考したからといって、必ずしも良い選択、判断が出来るとは限らないということです。羽生先生ですら、対局中に良い手を考えすぎてしまうと、細かいことに気をとられ、誤った手を指してしまうことが多々あるそうです。
不調も3年続けば実力
将棋界には「不調も3年続けば実力」という言葉があります。不調だと感じたときには、まずは自分が不調なのか、あるいは実力なのかを見極めることが大切だそうです。不調だった場合は、やっていることは間違っていないけれども、結果がすぐに出ないという場合もあるため、まずはやり続けること。実力だった場合は、素直に・真摯に受け止めること。
まとめ
今回は、長年勝負の世界で生きてきた、羽生先生の決断力の磨き方について教えていただきました。
ご自身の実体験を交えながら、決断に迫られたときに誤った選択・判断をしてしまったときの対処法や、3手先の読みについても掘り下げていただきました。現在のめまぐるしいIT技術の進化に伴い、情報も物も人も溢れている世の中において、決断力を磨くことの重要性について考えさせられる一燈塾となりました。