コラム
歯周病よりやっかい?インプラント歯周炎の症状と増えている理由
インプラント治療は、天然歯と同じような咬み心地や見た目など、非常にメリットの多い補綴(ほてつ)治療です。
しかし、すべてが利点だけとは言えません。
今回は、インプラント治療で注意しなくてはならないインプラント歯周炎について詳しくご紹介します。
インプラント歯周炎って何?
インプラントの素材は人工物ですので、むし歯にはなりません。しかし、インプラントが埋入されている歯ぐきは人工物ではありません。そのため、以下のようなメカニズムでインプラント歯周炎は起こります。
- インプラントと歯ぐきの間に食べカスやプラークなどが溜まると歯周病菌が発生
- そして、歯周病と同様にインプラントの周囲のあごの歯が破壊される
- 最終的にはインプラントや周囲の歯が自然に抜け落ちる
インプラント歯周炎の症状
歯ぐきから血や膿が出るようになるほか、放置しつづけるとせっかくのインプラントがぐらついて抜け落ちてしまうこともあります。
インプラント歯周炎の症状は歯周病によく似ていますが、インプラント歯周炎は歯周病よりもやっかいな要素が多々あります。
インプラント歯周炎は歯周病に比べて……
- 痛みが生じにくいので気付きにくい
- 歯ぐきが腫れにくいので気付きにくい
- 出血しにくい
- 歯ぐきではなく骨にも急速に炎症が起こる
- 症状が進むスピードが早い
などです。
インプラント歯周炎は自覚症状が出にくいため、罹患したことに気づかない患者さんも少なくありません。気づけば症状がかなり進行していた、ということも多いでしょう。これを避けるためには、定期的に歯科医院へ通い、メインテナンスを受けましょう。
インプラント歯周炎が増えている理由とは?
ヨーロッパ歯周病学会のレポートによると、インプラント歯周炎にかかる患者割合はインプラント治療を受けた患者さんの28〜54%といいます。かなり高い確率でインプラント歯周炎が起こっていると言えます。
では、なぜインプラント歯周炎は増えてきているのでしょうか?ここでポイントになるのが、インプラント成功に関わる基準の問題です。
インプラント歯周炎にかかってしまったとしても、抜けていなければ成功とする基準を「サバイバルレート」と言います。
一方、インプラント歯周炎だけでなく、周囲の骨や歯ぐきなどが健康な状態になっていてはじめて成功とする基準を「サクセスレート」と言います。
どちらの基準を採用するかはそれぞれの歯科医院の判断次第ではありますが、当然後者のほうが患者さま想いであると言えるでしょう。
良い歯科医院というのはメリット・デメリットを包み隠さずに患者さんに説明し納得していただいてから治療を行います。ホームページなどに掲載されている実績や謳い文句だけでは、歯科医院の良し悪しを判断するのは難しいということです。
まとめ
インプラント治療において重要なのは、歯科医師の技術力や歯科医院の設備です。
また、インプラント歯周炎などから患者さまを末永く守るサポート体制が大切です。
インプラント治療をご検討の方は、カウンセリングなどを実施しているようであれば直接ドクターの話を聞いてみるのがいいでしょう。また、将来的なメンテナンスも考慮して、通いやすい立地などを考慮して医院選びをしてみてください。