歯医者さんへ行く理由と
定期検診の重要性について
歯科医院への来院理由は「痛い」「かぶせ物がとれた」などが大半を占めており、「症状が出てから行くところ」と認識されがちです。しかし、治療に踏み切るのが遅れるほど治療回数は多くなり、治療を繰り返すほど歯の寿命は短くなります。そして、年齢が高くなるにつれて、歯を失うリスクは高くなってしまいます。
各国と日本との定期検診の受診率
予防歯科が定着している欧米諸国では、日本と比べて明らかに多くの方が定期検診を受診しています。日本はたったの2%です。それに比例して、80歳時の残存する歯の数にも大きな差があることが分かります。
(資料:長崎大学調べ)
定期検診を「受けているか」「受けていないか」の違い
グラフを見るといつまでも歯を残っている人と、残っていない人の違いは、定期検診を「受けているか」「受けていないか」の違いだということが分かります。定期検診による予防がとても重要ということです。
(資料:長崎大学調べ)
予防歯科の主な治療内容
予防歯科では、むし歯や歯周病などのお口の病気を未然に防ぐための検査および治療を行います。病気にかかる前から定期検診を受けることで、将来的に歯を失うリスクを減らすことができます。
高齢になってもきれいな歯を
日本では馴染みの薄かった予防治療ですが、高齢になっても健康な歯を保っている欧米などのスタイルを見習い、日本でも一般的なものになってきています。予防治療のために歯科に通う習慣をつけると、痛い思いをして歯の治療をする必要もなくなり、高齢になってもきれいな歯を保つことができます。
予防歯科の4つのメリット
予防歯科のメリット1むし歯や歯周病を早期発見して進行を防ぐ
歯科医院で定期検診を受けることで、むし歯や歯周病を早期発見できることが何よりのメリットです。 お口の病気は早期発見することで、症状の進行を妨ぐことができます。むし歯は初期の段階であれば、正しいメンテナンスで歯を削ること無く治癒することもあります。歯周病も自覚症状がでる頃には重症化していることが多くありますが、初期段階であれば、プラークコントロールなどの簡単な治療で対応ができます。定期的な予防治療を行うことで、むし歯や歯周病などで痛い思いをしたり、歯を失ったりするリスクを格段に抑えられます。
予防歯科のメリット2健康な歯を長く維持し続けられる
歯は有限なので、風邪などと違い、一度むし歯になって削ってしまった歯は一生元に戻ることがありません。歯としての機能や見た目を取り戻す治療はさまざまありますが、基本的には天然の歯よりも耐久性が低く、何度も治療を繰り返せば、やがて歯は失われてしまいます。結果的には、歯を抜けたままにしておくか、インプラント、ブリッジ、入れ歯などの治療の選択肢を検討する必要がでてきます。
予防歯科のメリット3“オーラルフレイル”を防ぎ、健康寿命を伸ばす
オーラルフレイルとは、「お口の筋肉の衰え」から始まり、噛めないものが増える→やわらかい物を好んで食べる→噛む機能が低下していく…という負の連鎖のことを言います。お口の衰えは全身の健康を大きく左右するものであり、オーラルフレイルを防ぐことは健康寿命の増進に欠かせない要素の一つといえます。
予防歯科のメリット4生涯の治療費の負担が軽くなる
むし歯や歯周病が重症化すると、何度も何度も歯科医院に通って治療をする必要が出てきます。また、歯を削ったり抜いたりすると、今度は失った歯をどのような治療で取り戻すかを検討することになります。さまざまな治療の選択肢がありますが、相応の費用が必要となります。また、抜けた歯をそのままにしておくと、周囲の歯に負担がかかり、残った歯の数が徐々に少なくなるだけでなく、噛み合わせや咀嚼機能にも悪影響を及ぼし、身体全体の健康にも関わってきます。
予防歯科の主な治療内容
1.PMTC(プロが行う歯のクリーニング)
PMTCとは「プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング」の略称です。主に歯科衛生士が専用の機材、材料、テクニックを駆使する、歯のクリーニングの方法です。普段の歯磨きでは取りきれない汚れやプラーク(歯垢)を徹底的に取り除きます。PMTCは保険で行われる歯石除去よりもさらに一歩進んだクリーニングで、むし歯や歯周病の原因となる細菌の塊、バイオフィルムを取り除くことができます。むし歯や歯周病予防に高い効果のある治療です。
2.歯石除去(保険適用)
歯周病やむし歯の原因となる歯石を取り除く治療で、専門用語では「スケーリング」といいます。保険適用が可能なため安価な治療ですが、保険治療で定められたルールにより「検査を受ける必要がある」「一度の通院で全ての歯石除去ができない」などの制約があります。一度にすべての歯石を除去したい方はPMTCをおすすめしています。
3.プラークコントロール
一人ひとりのお口の状態に合ったセルフケア方法の指導を行います。歯の清掃には、歯ブラシ以外にも、フロスや歯間ブラシ、タフトブラシなどのアイテムがあります。歯並びやお口の状況に合わせて適切なブラッシング方法や道具の使い方を指導します。
4.フッ素塗布
フッ素には歯の再石灰化の促進をしたり、歯が強くなる作用が期待できます。全ての年代において効果がありますが、特にこどもの歯の場合は生え始めから2年程度は柔らかいので、むし歯になりやすく、定期的にフッ素塗布を行うことで歯質を強くし、むし歯になりにくい丈夫な歯にすることができます。
唾液検査で自分にあった予防を実践
唾液を採取するだけで簡単にむし歯のリスクを確認することができます。むし歯の原因は細菌感染です。口腔内の条件が揃うことで、細菌感染は起こります。その要因は人それぞれで、人によって細菌の数が多かったり、唾液が少ないことで殺菌作用が減少していることなどがあります。当院では、こういったむし歯のリスクをチャートにして評価し、患者さまお一人お一人に合った予防策をおすすめしています。