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歯周病と糖尿病の関係

糖尿病になると歯周病になりやすい。
歯周病があると糖尿病が良くならない。

ということは昔から言われています。ニワトリが先か、卵が先かというような論争ですが、いずれも糖尿病と歯周病には密接な関わりがあることは事実です。

糖尿病→歯周病
歯周病→糖尿病

の流れをそれぞれまとめました。

糖尿病→歯周病 の流れ

  1. 糖尿病である
  2. 糖尿病になると、血液が高血糖になる
  3. 高血糖になると、唾液の分泌量が減る
  4. 唾液の分泌量が減ると、口の中が乾く
  5. 口の中が乾くと、白血球の機能が低下する
  6. 白血球の機能が低下すると、歯周病菌が増殖する
  7. 歯周病になる

以上の流れにより、糖尿病の方の歯周病リスクは高まります。
この時に、お口のケアを怠り、口の中が不潔な状態になると、いとも簡単に歯肉炎になり歯周病へと発展します。また、治療をせずに放置すると重症な歯周病にもなりやすいのです。

歯周病→糖尿病 の流れ

  1. 歯周病である
  2. 歯周病になると、炎症性物質(TNFα)が多量に作られる
  3. 炎症性物質が増えると、インスリン(血糖値を安定させるホルモン)の働きが抑制される
  4. インスリンの働きが弱まると、血糖コントロールが悪化する
  5. 血糖コントロールが悪化すると、高血糖状態になる
  6. 糖尿病になる

以上の流れにより、慢性疾患である歯周病が高血糖状態に発展します。逆に、同じ要領の流れによって、歯周病の治療を行うと、血糖コントロールが改善され、血糖値が改善されることも知られています。

おまけ1:糖尿病の予備知識

糖尿病には、1型と2型があります。

1型糖尿病とは

インスリン(血糖値を安定させるホルモン)が先天的に分泌されない場合に起こります。お口のケアを徹底して、歯周病のリスクを減らしていきましょう。

2型糖尿病とは

生活習慣によりインスリンの作用を弱めてしまい、血糖コントロールが難しくなり、高血糖になります。主に肥満によって脂肪細胞からインスリンを邪魔する物質が分泌されます。お口のケアはもちろんのこと、生活習慣の改善から取り組み、歯周病のリスクを軽減させましょう。

おまけ2:肥満→糖尿病→歯周病 の流れ

ここまでご説明した流れをまとめると、肥満から歯周病への流れも浮き彫りになります。肥満は万病のもとと言われるところにあるかもしれません。

  1. 肥満である
  2. 脂肪細胞から血糖値を安定させるホルモン(インスリン)を邪魔する物質が分泌される
  3. インスリンの作用が弱まると、血糖コントロールが難しくなる
  4. 血糖コントロールが難しくなると、高血糖になる
  5. 高血糖になると、唾液の分泌量が減る
  6. 唾液の分泌量が減ると、口の中が乾く
  7. 口の中が乾くと、白血球の機能が低下する
  8. 白血球の機能が低下すると、歯周病菌が増殖する
  9. 歯周病になる

まとめ

このように、歯周病と糖尿病の間には密接な関係があります。事実、2型糖尿病と重度の歯周病を併発している人が、歯周病を治療したことによって、血糖値が改善されています。
歯周病も糖尿病も、ともに生活習慣病です。命に関わる大きな病気であり、多くの人がリスクを抱えています。それぞれの病気の要因や関係性を知り、事前の予防を心がけましょう。

参考:石川 烈 (著) 歯周病―名医の言葉で病気を治す (あなたの医学書) 誠文堂新光社 出版